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日本山岳会 群馬支部

安全登山の基本3 必携の地図とコンパス 紙と登山アプリ併用を

安全登山の基本3

*上毛新聞「視点オピニオン」に2024年12月から’25年10月まで、7回にわたり掲載されたコラムを上毛新聞社の許諾により掲載します。

執筆:根井康雄(日本山岳会群馬支部長)

必携の地図とコンパス 紙と登山アプリ併用を

ツアー登山やガイド、講師、経験者らに連れていってもらう場合、特に初心者は登山中、自分がどこにいるかが分からないという人が意外にも多くいます。出発地で、今どこにいるか地図上で指し示してくださいと言っても、正しく位置を示すことができない人もいます。出発地で自分の位置が分からないということでは、実際に登り始めても位置は分からないままです。

前の人の背中を追って登っていったら頂上に着いて、下山できたというのでは、ただ登ったというだけでしかありません。景色に恵まれればいい思い出にもなりますが、それでは登山の本当の醍醐味(だいごみ)は分かりませんし、危険に遭遇した時のリスク回避のすべはとても身に付きません。

位置が分からないという状態は「道迷い」であり、すでに「遭難」状態です。登山口で自分のいる位置が分からないのは、登山以前に遭難しているということです。私自身、何度も通っているルート上で霧や吹雪の中とはいえ、油断から自分のいる位置を一時的に見失った経験があり、道迷いを防ぐために地図は絶対に必要だと実感しています。

ただし、地図だけでは位置を特定し、ルートを正確に指し示すことはできません。コンパスを使いこなして初めて、安全に登山道をたどることができます。地図とコンパスの使い方をここで詳しく説明する紙面の余裕はありませんが、山岳会や講習会などでレクチャーを受けるのが近道です。

また、登山当日の読図だけではなく、事前にその日にたどる登山路を地図上で確認しておくことも重要です。登山口から下山地までの経路の確認、全体的にどのくらいの登り下りになり、おおよその距離、所要時間はどのくらいか。途中に水場や休憩できる適地、山小屋などはあるか、崖や急斜面、ガレ場などの危険な場所、迷いやすい分岐などはあるか。周辺の植生や目印となる特徴的なピークや大きな尾根、谷、そして道路や送電線、アンテナといった人工物など、地図から得られる情報はたくさんあり、それらは全て安全な登山を行う上でとても重要な意味を持っているのです。

現在地を知るにはスマホの登山アプリも便利で、正確な位置情報を得ることができます。ただ、スマホの場合、画面が小さく、狭い範囲しか見ることができません。しかも地図の基本を知らなければアプリの地図も正しく理解できないでしょう。

また、インターネットで地図を入手し、印刷して使うこともできますが、これも大きさが不十分です。地図は国土地理院発行の2万5000分の1地形図を強く推奨します。スマホアプリにも優れた利便性がありますので、山でもアナログとデジタルの両方を使いこなし、安全に登山を楽しんでほしいと思います。

安全登山の基本1 「こんな登山は危ない 事故招く過信と無計画」

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