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日本山岳会 群馬支部

安全登山の基本2 「山のグレーディング 難易度知って安全登山」

安全登山の基本2

*上毛新聞「視点オピニオン」に2024年12月から’25年10月まで、7回にわたり掲載されたコラムを上毛新聞社の許諾により掲載します。

執筆:根井康雄(日本山岳会群馬支部長)

山のグレーディング 難易度知って安全登山

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」は孫子の有名な言葉ですが、登山でも「山を知り、己を知る」ことは基本中の基本です。遭難事故の多くは山を知らず、己を知らないことによって引き起こされると言ってもいいでしょう。

山を知る上で最も信頼できる情報源は何でしょうか。それは交流サイト(SNS)でもユーチューブでもなく、県別に制定された「山のグレーディング」です。

群馬県では、「群馬県山のグレーディング」として県と県山岳団体連絡協議会が県内92の登山コースを対象に、技術的難易度と体力度によって一つ一つを評価しています。山岳団体連絡協議会は県山岳・スポーツクライミング連盟、県勤労者山岳連盟、日本山岳会群馬支部の県内主要山岳団体によって組織されています。つまりこのグレーディングは、山のベテランたちによって評価されたものと言えます。

技術的難易度は、Aの「おおむね整備済で転んだ場合でも転落・滑落の可能性は低く、道迷いの心配は少ない」から、最も難しいEの「緊張を強いられる厳しい岩稜の登下降が続き、転落・滑落の危険箇所が連続する。深いやぶこぎを必要とする箇所が連続する場合がある」までの5段階。コースの難しさと危険度を、実際に登っている山のベテランたちが客観的基準に基づいて評価しています。

体力度はコースタイム、ルート全長、累積登り標高差と累積下り標高差から算出されるルート定数によって、1~10の10段階で評価されています。

コースはこの二つの指標によってA1、E10などと格付けされ、技術的難易度や危険度、必要な体力度が一目で分かります。自分を知るにも、このグレーディングを使いましょう。

初心者であれば、技術的難易度が最も易しい「A」で、体力度が最も低い「1」の「A1」から始めます。経験者ならば、自分の経験を振り返り、無理なく余裕をもって登れたコースがA2であるとすれば、A2が自分のいる位置、自分の実力です。

まずそのゾーンにあるコースをじっくり登って、自信がついてきたら、次のステップへ進みます。ただし、それもしっかりとした経験者の同行の下、技術、体力のどちらか一つを上げていきます。

グレーディングは、群馬だけではなく、新潟、長野、栃木の他、山梨、静岡、岐阜など、国内の主な山岳を有する県の登山コースや日本百名山を対象に、共通の基準の下で格付けされ、県外でも同じように活用できます。

群馬県の山のグレーディングは県ホームページで公開されています。3月頃に一部を見直した新版も発表される予定です。なお、この格付けは雪のない時季のものです。冬山は大変危険なので、経験豊富なリーダーの下での慎重な計画と行動が必要です。

安全登山の基本1 「こんな登山は危ない 事故招く過信と無計画」

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