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日本山岳会 埼玉支部

2025年度 安全登山講演会「埼玉県警山岳救助隊の話」のご報告

2025年度 安全登山講演会「埼玉県警山岳救助隊の話」のご報告

講演会報告(pdf版)はこちら → 報告

日時・場所:2026年1月24日(土)14:00~16:10 於・埼玉会館3C会議室

講師   :埼玉県警山岳救助隊 高島 望氏(補助:小宮 進氏)

ココヘリ 八木澤美好氏(AUTHENTIC JAPAN㈱専務)

山崎 康司氏(ココヘリオペレーター、埼玉県警OB,日本山岳ガイド協会山岳ガイド、JAC埼玉支部会員)

参加者数 :支部会員24名、東京支部会員 1名、信濃支部会員 1名 一般10名 合計36

第一部.埼玉県警山岳救助隊の話

1.山岳救助隊の体制:埼玉県警察山岳救助隊は、32名(秩父20名、小鹿野9名、本部3名)隊員は、通常は交番勤務。山岳遭難防止対策として、登山届提出の啓発活動、登山道整備を行う。

2.情報発信:X(SNS)にて情報発信。山岳救助隊ニュース、両神山のハザードマップ等。

3.登山地図アプリとの連携

・コンパス、ヤマレコ、ヤマップとの連携

・ココヘリとの連携(発信機からの情報をもとに遭難者を捜索)

4.遭難者の状況

・令和2年から増加して令和5年(94件)がピーク、令和6年は73件、令和7年は77件。因みに長野県警は350件。登山届提出率は、77件の内25件で、32%の構成比率。提出しなかった理由として、必要ないと思った(33.6%)、計画を立てなかった(12.2%)、提出方法を知らなかった等。

・棒ノ嶺、両神山で全体の約20%

・埼玉県は、5月・10月・11月にピークがある。温暖化の影響で、晩秋までアルプスに登れるようになり秋に増加傾向。

・両神山の上落合登山道閉鎖を令和5年に解除したため遭難件数は増加している。

・年代別では、65歳~74歳が多く、45歳~54歳も増加傾向。(子育て一段落か)20歳代の若い世代は装備不十分が原因。複数で無知なため集団で遭難。

・登山歴1年未満の遭難者が増加傾向。令和7年は全体の30%。

・態様別(原因別)では、道迷いが12%(減っている)、山でのマネジメントが低下している。滑落(顕在態様24.3%、潜在態様15.2%)、道迷い(顕在態様9.1%、潜在態様19.3%)

5.ヤマップとココヘリで行方不明者を早期発見した事例

・両神山(八丁コース)での遭難者捜索:「ヤマップ」で位置情報、「ココヘリ」の捜索機器を活用して、捜索開始から2時間で行方不明者を発見。

・酉谷山での救助例:装備品不足、北斜面は雪があったが軽装で行動不能。

6.野生動物(熊)による被害について

・小鹿野町の天理岳から両神山の登山中に熊と遭遇し避難する際に転倒事故。

・目撃情報は令和6年で108件、令和7年で163件。

・令和6年5月に秋田県警署員が2名死亡。

・熊の眼力(視力)は人間と同等と言われている。

・熊避けスプレー(カプサイシン)、鈴が有効である。

・熊の痕跡(糞)が分解されずに残っていることは数日以内に熊がいた証拠。その他の痕跡として、熊棚、土まんじゅう等。

・冬眠は冬にエサが無い場合省エネのために行う。エサがあれば冬眠しない。また、常に眠っているわけではなく移動している。

・秋田大学で熊に対する防御姿勢の有効性を発表している。熊被害に遭った人70人中の7名が防御姿勢を取り重傷者はゼロであった。防御姿勢を取っても継続して襲ってくるようなら戦うしかない。

・熊に襲われた人がいたため車のクラクションを鳴らしたがダメで、熊スプレーで逃げた。スプレー、ストック(長い物に恐れる習性)、爆竹、獣除け線香等が有効。

・警察官の護身用の銃ではダメ。一発で致命傷にならないと大変なことになる。

第二部.ココヘリの説明

1.ココヘリの紹介

・公的機関では、埼玉県警が第1号で協定締結した。

・目視の捜索から電波での捜索に移行する。

・目的は捜索の長期化、捜索費用を軽減すること。

2.ココヘリのサービス

・公的機関と連携し、年間550万円までの役務提供。

3.仕組みと機器の特性

・ノーマル受信機は1km、ブースターアンテナで10km、ドローン取り付けアンテナで16kmの距離を受信可能。

4.通報受電の流れ

・本人→110番/119番への通報(携帯が通じる場合)→ココヘリコールセンター→ココヘリ担当者が公的機関と連携(ID他情報共有)

・ココヘリの強みはGPS(GPS付新型発信機)+直接通信

5.その他

・携帯電話を紛失してしまうと緊急連絡先が分からなくなる場合があるので、メモしておくことを薦める。

・ココヘリのヘリオペレーターは全国に5名(埼玉1名)。

〇質疑応答

質問:ココヘリとの協定とはどんな内容か?

回答:情報の共有に加えて、機器(アンテナなど)の貸与も受けている。

(記:安全登山委員会 田中 利昌)

日本山岳会本部

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