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日本山岳会 埼玉支部

2025年度 歴史文化探訪①「十文字峠越え」山行報告

【十文字峠越え】山行報告

支部設立15周年記念山行・歴史文化探訪登山①

報告文(pdf版)はこちら → 報告文

日程:2025年6月14日(土)~6月15日(日)

場所:十文字峠(1962m)・十文字山(2072.1m)

天候:曇り一時雨

参加者:橋本久子 那須朋美 SL:田中利昌 CL:齋藤哲也 計 4名

行 程:6月14日午前9時55分 JR信濃川上駅集合

〇6月14日(土)

梓山10:45-11:55毛木平12:15-12:40五里観音12:45-14:40十文字峠14:45-15:00十文字山15:05-15:20十文字峠 【歩行時間:4時間35分】

午前9時55分、参加者全員で真新しい村営駅舎のある信濃川上駅に降り立ち、川上観光タクシーで梓山へ。梓山からは、初夏の曇り空の下、サニーレタス等の高原野菜畑が広がる1本道を歩き、毛木平へ。毛木平からは、弱雨の中、甲武信ヶ岳への山道を分け、十文字峠を目指す。最初の里程観音である五里観音前で旧大滝村(現秩父市)までの雨中登山の安全を祈願する。この後、沢沿いを進み、急登の八丁坂を登り切ると稜線に出る。稜線を進み、程なくして、十文字峠に到着。十文字峠からは空身で十文字山までピストン。十文字山では静寂な奥秩父の深林美を十分に堪能。そして、昭和の香りがする十文字小屋へ。小屋周辺の石楠花はシーズンの終わりを告げていたが、ランプに照らされたストーブに濡れた体が温められ、温野菜中心の夕食で疲れを癒し、明日の峠越えに備えた。なお、懸念のあったダニ被害を受けることはなかった。

〇6月15日(日)

6:00十文字峠6:35-7:00四里観音7:05-7:35四里観音避難小屋7:50-8:50林道分岐8:55-9:23三里観音9:30-11:35のぞき岩・二里観音11:40-12:10白泰山分岐12:11-13:15一里観音13:25-13:55白泰山線登山道入口14:00-15:05栃本関所跡 【歩行時間:9時間5分】

前日から一晩中降り続いた雨は出発前には上がり、朝靄とコメツガ・シラビソ等の常緑針葉樹や苔の緑が幻想的な雰囲気を醸し出し、奥秩父の深林美が際立つ。里程観音に導かれるように栃本を目指す。四里観音避難小屋の水場で喉を潤し、トラバース気味に進む。途中、咲き残った数少ない石楠花に出会う。三里観音から二里観音の区間はアップダウンが続き、今日一番の勝負どころ。稜線の岩場を南北方向に巻いて進み、踏ん張って登り切るとのぞき岩・二里観音に辿り着く。のぞき岩に立つと正面に新緑の雁坂嶺が目に飛び込んできた。美しい。二里観音からは尾根も大きく広がり、緩やかに標高を下げていく。林床の落ち葉がクッションとなり膝に優しい。白泰山付近では、足元で一面に広がるシダの緑が映える。一里観音で休憩。参加者からは「修行のようだったが、楽しかった。」との感想がもれ、全員笑顔。一里観音からは人里が恋しくなる。両面神社まで一気に下り、舗装された林道に出合って、栃本に向かう。三峯口行きの最終バスは15時53分発。15時5分に栃本関所跡バス停に到着。汗をぬぐい、見上げると抜けるような青空が、隣を見ると達成感に満ちた参加者の笑顔が広がっていた。信州梓山から武州栃本へ。2日間、すれ違う人は皆無であったが、山岳古道は確かに存在し、里程観音は安全登山の象徴として、元治から160年以上、人々に安心感を与え続けていた。深謝。   (文責:齋藤哲也)

日本山岳会本部

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