2024年 3月山行 四季の山・冬山 「 硫黄岳 」報告
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*日 程:2024年 3月23日(土)~24日(日)
*場 所:硫黄岳 2,760m(八ヶ岳)
*参加者:高倉洋一、塚越和子、那須朋美、平本真二郎、平本美恵子、朝井紀久子(SL)、飯塚雅信(CL) 計7名
*天 候:
3/23 小雪、気温 1度、風なし。 (眺望:登山周囲は良し。山上はガス)
3/24 早朝晴れのち曇り。気温2度→下山中10度、風なし (眺望:良好)
*行 程:
3/23:電車組と前泊組を茅野駅で車1台がピックアップ。残り1台と美濃戸口P集合。10:15美濃戸口→美濃戸山荘ゲート12:10→(北沢ルート)→13:10堰堤広場13:25→15:50赤岳鉱泉(泊)
3/24:6:00朝食→8:00赤岳鉱泉発→9:18中山展望台9:32→10:10行者小屋10:35→(南沢ルート)→12:45美濃戸山荘ゲート→14:00美濃戸口 P下山。 八ヶ岳山荘で休憩後15:00解散(車1台は電車組が同乗。他1台は別で、それぞれ帰路)。
数日前予報で、低気圧前線の影響で、暴風と雨(又は雪) の影響が懸念されましたが、2日目の登頂日は回復傾向の予報あり決行。初日は小雪の中、宿泊する赤岳鉱泉までゆっくりながら安定したペースで足並み揃い進みます。途中からアイゼン装着。数日間の降雪があり、高度が上がる程に新雪の樹林帯となっていきます。会話も弾み、それぞれの動きも見え、安心する中で、宿泊する赤岳鉱泉に到着。
受付時に小屋職員から「新雪が乗り、状態はかなり悪い。硫黄岳への途中の“赤岩の頭”直下で雪崩のリスクがある。雪状態を見極められないなら、硫黄岳は行かない方が良い」と真剣な表情で助言されました。また、他宿泊客で登山ガイドの方から「この状態は行ける。直下で本来右に撒いて進むルートを、雪崩を避けるため直登する事で行ける」との考えのシェアが有りました。直ぐに飯塚Lに伝え、部屋で全体ミーティング。明日の山天気予報については悪くは無い。雪崩リスクをどう判断するか。明日、樹林帯を抜ける手前までは行ってみて、状況を判断してみるか、との意見が出ました。また、硫黄岳を断念して下山する場合は、行者小屋との間にある中山展望台で八ヶ岳の展望を味わおう、という提案もメンバーからありました。赤岳鉱泉ならではのステーキの夕食や談話も存分に味わい、定時に就寝。
翌朝すぐ飯塚Lから「やはり硫黄岳には行かず、中山展望台へ寄って下山しよう」との意思表示がありました。朝井SLも他参加メンバーも、一瞬考えた後、間もなく飯塚Lの方針に合意しました。その後は、参加者皆さん、気持ちを切り替えて、身支度のし直しなど、明るく会話しながらされる様子は、とても前向きな雰囲気でした。ゆったりと会話や準備もした後、当初の硫黄岳登頂への予定より1時間遅らせ、赤岳鉱泉を出発。
途中の新雪が積もった広地で、今回の雪崩リスクへの理解を深める勉強として、弱層テストを試みました。いくつかの方法は有るのかもと思いますが、今回は、その場にある道具で可能な方法として、飯塚Lが持参されたスコップを用いて実施。飯塚Lのご指導と、他参加者からも知り得ている範囲での知識シェアも得ながら、その場に50㎝程の四角柱を掘り出し、抱えてずらすことで、被動性のギャップ層を見て感じるという事が出来ました。具体的には新雪表層より40㎝程下部に氷結層が3㎝程度、掘削中も確認でき、抱え動かす時もその層付近でのギャップを感じられたように思います。実際は、登山を進める時に行う評価法と思われますが、勉強になりました。
その後に行った中山展望台では、天候も良かった為、大きく阿弥陀岳・赤岳・横岳が目の前に並び、そしてその先に硫黄岳の稜線が見えました。暫く展望を満喫した後、行者小屋、そして南沢ルートを経て、美濃戸口へ無事下山。特に怪我や体調不良なく、下山口の八ヶ岳山荘では、じっくりティータイムを皆で味わい沢山の会話を楽しみ、解散となりました。
今回の山行では、残念ながら雪山の硫黄岳への登頂は叶いませんでした。皆、残念だったと思います。しかし、雪山でのリスクへの判断ということを、今回は何よりも大きなお土産として得たのではないかと思います。風もなく天候も良い中で、一見、楽しく登頂できそうにも思えますが、情報を得て、しっかり総合的な判断をリーダーがして下さったこと、そしてそれに従い、皆が前向きに学び、改めて楽しむ気持ちを持てていることに、頭が下がる想いを抱けた清々しい山行でした。(朝井紀久子)