日本山岳会主催 指導者講習会「観天望気」 報告
埼玉支部 東 洋子
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4月3日〜4日と日本山岳会主催の指導者講習会として、”観天望気”の学びの機会がありました。
本来は2月13日〜14日でしたが、コロナウィルスで延期となり、少し落ち着いた4月に開催され、埼玉支部からは私を含めて3人で参加しました。
以前から、機会があったら学びたいとは思っていましたが、”ヤマテン”などで名前が知れている猪熊隆之氏の講座と実際に八ヶ岳を見ながらの”観展望気”のライブ授業もあるとの事で、楽しみに出掛けました。
冊子の”山と渓谷”などでも特集が度々組まれる、読図・ロープワーク・観天望気という三種の神器!の一つで、山に登るなら知識として知らないといけない事。私は山岳部の経験もなく、また、自分から真剣に学ぼうとしたこともなかったので、講座を受けたのは初めて。参加した人:19人の中では高齢な方で、40歳代以下は2人でした。
まず、長野県警察山岳救助隊の副隊長の母袋さんの山岳遭難の事故の話があり、それに続いて猪熊さんの講義がありました。
この時の講義は”気象リスクマネジメント”という題でテキストに沿っての話でした。計画段階で登山の成否の半分は決まる。登山計画を立てた時にリスクの想定と対策を練ること。登山ルートにより気象リスクは大きく違ってくる。
気象遭難:①低体温症 ②落雷 ③沢の増水 ④突風による転落死 他に雪崩や熱中症。これは森林限界を超える山でリスクは大きくなっている。これを防ぐには、まずは天気図。そして登山中の雲や風を確認する。
天気がどうして崩れるのか?山があるから。海との位置関係。そして等圧線の向き(風向き)等圧線の間隔(風速)について、パワーポイントを使っての講義でした。そして夕飯と風呂。
その後、2つのグループに別れて、秋山10月5〜7日に白馬岳に栂池自然園側から登頂するという想定で討議と講義が10時過ぎまでありました。この時の天気図が示されていましたが、太平洋に二つの高気圧。大陸には低気圧。そして日本海には前線。実際に遭難事故が起きた気象状況で、この場合に出発をしてから、どんな気象になるのか?3000m上空ではどんな風が吹いているのか?どこで引き返したら良いのかなどを、グループで討論し、発表して、学び合いました。
翌日は、学習にはもってこいの?曇り。これから雨が降り出すという予報の空模様。その中を宿泊していた小諸の安藤百福センターの近くの八ヶ岳パノラマトレイルや蓼科を展望するコースを歩きながら、ライブ授業を受けました。雨予報でしたが時折雨粒を感じるくらいで、降られずに終了。雲を観察しながら、風の通り道を感じたり、学んだり。小諸という地形が盆地で山岳地帯とは大きく違っている事なども体感しました。
この講習で、スキー仲間の山岳部員だったおばさま方が言っていた言葉を思い出しました。
”朝日のチャッカリ、姑のニッコリ、油断めさるな”
調子の良さそうな時には、後が危ないと!気をつけなさいよと。この日は確かに明るいのだけど、雲が多く、雲の流れもあって、”あれがレンズ雲”などと説明を受けていました。これから荒れてくる前兆の雲。
富士山がよく見える山にゆくと、雲をまとった姿をよく見ます。その雲により、これから荒れてくるのか?風が強くて、山の向こう側にゆけないのか?まだ学びが足りないと、学びはじめて知りました。感覚ではなく、きちんと知識が必要だと。