谷川岳~白毛門(21.1km) 前回第5班が風雨の中を三国峠から谷川岳を走破し、引き続き第6班が谷川岳から白毛門を経て土合橋まで、いわゆる馬蹄形を走破した。前回同様に再び風雨に見舞われ、9月15~16日の2日間はカッパを着込んでの行動となったが、7月14日から6区間に分けて開始した「ぐんま県境稜線トレイル(100km)」は、これをもって完走となった。
・ルート概要
馬蹄形は、西黒尾根から谷川岳・一ノ倉岳・茂倉岳・武能岳・七ツ小屋山・清水峠・朝日岳・笠ケ岳・白毛門に至るか、その逆で土合橋から白毛門に登り反時計回りの縦走を言い、難易度C6にランクされる。今回は、第5班からの引き継ぎとなるため天神平から谷川岳に登り、時計回りで実施した。
好天であれば、武能岳からは東側の朝日岳・笠ケ岳・白毛門の眺望がすばらしく、アバランチシュート(頻発する雪崩で草本類しか生えない斜面)が鮮明に見え、反対に白毛門の頂上からは谷川岳一ノ倉沢の迫力ある大岩壁が見られる。残念ながら今回は2日間とも視界0であった。唯一、心を慰めてくれたのはジャンクションピークから朝日岳に至る池塘周辺で草紅葉が始まっていたことである。
・コースガイド
谷川岳までは熊穴沢ノ頭から天狗の留まり場まで岩塊の斜面となり、雨天時にはスタンスを取りやすい個所が水路と化している。谷川岳トマノ耳・オキノ耳、一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳間は、緩い起伏の縦走となり、稜線上では武能岳への登り返し約170mが最大の標高差となる。また、武能岳から蓬ヒュッテまで標高差230mの下り40分間が非常に長く感じられる。
蓬ヒュッテから七ツ小屋山は穏やかな登りとなり、再び清水峠まで緩い下りとなる。清水峠から朝日岳に向かってすぐに三叉路となるが、木製の大型看板が倒れた状態にあり、それに気を取られ左に入ると旧国道(清水街道)に向かうので要注意(ここは右に向かう)。ここからはジャンクションピークに向かってひたすら標高差500mを登り、池塘の発達した心和むコースを緩く登って朝日岳に至る。
朝日岳から笠ケ岳へは、6ツの小ピークを登降しながらのコースとなる。笠ケ岳からは、標高差210m下降し80mを登りかえして白毛門頂上に至る。白毛門頂上から土合橋までの標高差1000mを超える下りは岩塊や大木の根が露出し、下山に非常な労力を要することになる。
・小屋
営業小屋 蓬ヒュッテ
無人小屋(宿泊人数) 一ノ倉岳避難小屋(3人) 白崩避難小屋(10人)
笠ケ岳避難小屋(4~5人)
・水場
蓬ヒュッテ下位(花崗岩から湧出しているので美味い)
清水峠(玄武岩からの湧出で味は良くない)
・エスケープルート
茂倉岳から土樽へ3時間、蓬ヒュッテから土樽へ4時間、清水峠から謙信尾根経由で清水集落へ3時間
・交通機関
JR土合駅から谷川岳ロープウェイ駅まで徒歩15分
JR土合駅から土合橋の白毛門登山口駐車場まで徒歩5分
上越新幹線上毛高原駅から谷川岳ロープウェイ駅までバス50分
・標準コースタイム(http://www.pref.gunma.jp/03/av01_00010.htmlから引用)
[1日目] 天神平-2:15-谷川岳肩の小屋-0:10-オキノ耳-0:50-一ノ倉岳-0:20-茂倉岳-1:40-武能岳-0:40-蓬ヒュッテ(泊)
[2日目] 蓬ヒュッテ-1:10-七ツ小屋山-0:50-清水峠-2:00-ジャンクションピーク-0:35-朝日岳-1:05-笠ケ岳-0:45-白毛門-2:25-土合橋
【注意点】
・アップダウンが多く長距離
・エスケープルートが少ないうえに登降頻度が少なく情報が曖昧。早めに体調を確認し、適度な位置から引き返すのが賢明。
・痩せた岩稜が多く危険度が高い。特に谷川岳オキノ耳から一ノ倉岳の手前までと、茂倉岳北側下りの一部、朝日岳山頂付近は蛇紋岩で滑りやすく雨天時は注意を要する。
【最後に】
平成30年は「ぐんま県境稜線トレイル」の開通と日本山岳会群馬支部設立5周年が合致したことから、記念事業として100km全線踏破が計画され、実施されました。企画した武尾事業委員長と具体的な計画を行った黛副支部長、そして支部山行とのバランスを取ってくれた田中山行委員長に感謝します。さらに、100kmを連続する特殊性から6区間のうち5区間が登山口と下山口が異なり、忙しい時間をやり繰りしながら送迎に協力してくれた支部会員に心からお礼を申し上げます。
設立から5年で当企画を成功できたことは、これからの支部活動に自信と結束が強まったことと感じ、なお一層の新企画や新たな山行の実施に励みとなると信じております。ありがとうございました。(日本山岳会群馬支部CL北原、中山、黛、田中)